なぜトウモロコシには白い粒と黄色い粒があるのか？

トウモロコシには色とりどりの粒が存在しますが、特に白と黄色の粒が混在している現象があります。これには遺伝的な背景が関係しています。

白と黄色の粒が混在するトウモロコシの遺伝的背景

一般に、トウモロコシには黄色い粒だけでなく、白、紫、黒、緑、赤、橙色の粒を持つ品種も存在します。これらの中でも、主流を占めるのは黄色と白色の粒です。

トウモロコシは雌雄異花の植物で、同一の株で雄花と雌花が別々に咲きます。これにより、自家受精が起こりやすく、系統が純粋に保たれることが多いです。純粋な黄色の粒の系統と白色の粒の系統からなるトウモロコシは、それぞれの親の特性を強く受け継ぎます。

しかし、異なる系統のトウモロコシを交配させると、黄色と白色の粒が混在するバイカラーのトウモロコシが生まれます。この場合、黄色の粒は遺伝的に優性であるため、白い粒は劣性として現れます。これにより、粒の色の配分は通常3:1の比率で現れるとされています。

トウモロコシにおけるキセニア現象は、トウモロコシの胚乳に直接影響を与える特殊な遺伝現象です。トウモロコシの胚乳は、種子の大部分を形成し、食用とされる部分です。

植物の受精過程では、一つの花粉粒から二つの核が生成され、一つは胚を形成し、もう一つは胚乳を形成します。この二重受精により、胚乳は花粉の遺伝的特性を強く反映することがあります。

この現象により、白い粒を持つ花粉からは白い胚乳を持つトウモロコシが生じることがありますが、黄色い粒を持つ花粉からは黄色い胚乳を持つトウモロコシが一般的です。このため、キセニアにより、一本のトウモロコシの中で異なる色の粒が現れることがあります。

トウモロコシや米など、胚乳を主食とする作物では、この現象が特に重要です。他の作物では胚乳が主な食部でないため、キセニアの効果は目立たない場合が多いです。

トウモロコシは風で花粉が運ばれる風媒花の一種です。そのため、異なる品種のトウモロコシを近距離で栽培すると、交雑が発生しやすくなります。

例えば、黄色い粒のトウモロコシと白い粒のトウモロコシが近くに植えられている場合、黄色い粒の花粉が風に乗って白い粒の品種に飛んでいき、その結果、予期せぬ色の粒が混じることがあります。

この現象は粒の色に限らず、味にも影響を及ぼすことがあります。例えば、甘みが特徴の品種に別の品種の花粉が授粉した場合、生じた実の甘さが薄れることがあります。

品種を保持したい場合は、異なる品種のトウモロコシを200メートル以上離して栽培するか、開花時期をずらして受粉を避ける工夫が必要です。

特に、食用トウモロコシと飼料用トウモロコシとの間には顕著な味の違いがあり、混交を避けるための注意が必要です。

キセニアはトウモロコシの胚乳において、花粉の遺伝的特性が現れる現象です。これは植物の二重受精によるもので、胚乳の色や質が花粉の性質によって左右されます。

トウモロコシや米など、胚乳が主要な食部を占める作物で顕著です。しかし、胚乳が主食部でない野菜や果物では、キセニアが発生しても目立つ影響は少ないです。

トウモロコシは多彩な色の粒を持つことがあり、主要な色は黄色と白です。異なる色の粒が混ざる主な理由は、バイカラー品種の交配とキセニア現象によるものです。これらの理解は、品種の選定や栽培計画において重要です。